手紙/東野圭吾 あらすじ 感想

光合成をしなければ。
もう買い物すら気が重くて、身体も重いんですけどね。おでぶさんか。
だけど外に出ないとダメですよね。
誰か連れだしてください。




東野圭吾「手紙」 あらすじ・感想

手紙 (文春文庫)



これは映画化もされていて有名ですね。
ちなみにわたしは映画版は観ていませんので、原作のみの感想になります。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。
弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く・・・・・・。
しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。
人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。
犯罪加害者の家族を真正面から描き、感動を呼んだ不朽の名作。

文庫本裏表紙より。

感動か。うーん。感動はなかったなぁ。
感動なんて言葉使えない、人ひとり殺してるんだから。
という、のっけから辛口オーラ出してますが、作品自体は良い物語だと思います。

では感想を。ネタバレありでいきますのでお気をつけください。

まずお兄さん。ちょっとあれだよ。
ずれてるんですよね、一貫して。見事なくらい。

とにかく弟想いなのはよく分かる。強盗殺人の動機だって、弟を想ってのことだったし。

事件のあと、弟は「殺人犯の弟」として生きていかなければいけません。
どこに行っても何をするにも「殺人犯の弟」。彼自身もそれを痛いほどわかっています。
しかし兄はどうだって話ですよ。

兄は毎月、弟に手紙を書きます。返事の有無に関わらず。
弟に向けて手紙を書くとき、彼はただの「お兄ちゃん」なんです。弟想いの。
被害者の方への反省とか謝罪の気持ちももちろんあるんだとは思います。弟に墓参りとか頼むぐらいだし。

兄から届く手紙は決して重い内容ではなくて、弟の心配と自分の刑務所暮らしの話、他愛のない話です。
高校は卒業したのか、大学には行く気はないか、身体には気をつけてくれ……。弟想いのお兄ちゃん。

でも弟は「ただの弟」じゃない。弟からしても「良い兄」ではない。
殺人犯の弟、人を殺した兄、なのです。

この認識、自覚の差が、互いを繋ぐ手紙に対する二人の温度差に直結しています。

兄は刑務所の中でひたすら弟を想い、心配します。とってものんき。
自分のしたことについても反省しています。
でも”それだけ”で、その後にまで考えが及ばない。正直腹たって仕方ない。

兄が奪ったものは被害者のお金と命、被害者遺族の幸せだけではありません。
弟の社会をも奪ったこと、”社会の中で生きていく弟”を殺したということに、兄は気付きません。

最初こそ、兄が罪を犯したのは自分のためだと申し訳なく思う弟ですが、
ことあるごとに「殺人を犯した兄」の存在が自分の人生を邪魔してくる。

そして当の本人(兄)は、のうてんきに無邪気な手紙を寄越してくる。
人の気も知らず。世間の冷たさも厳しさも知らず。

切るに切れない「兄弟」という絆、血の繋がりと現実に思い悩み、ついに弟は決断を下す。

弟の本当の気持ちを知り、同時に自分の浅はかさを知り、被害者家族に最後の手紙を書く兄。
この期に及んでまだそれを書くか。と突っ込んでやりました。
おそらくあらすじにある”感動”どころなんでしょうが、わたしにはわからない。
とにかく、”追伸”が余計なんだよ。
もしかしたら理解できないわたしが浅くて小さい人間なのかもしれないけど、それでも。

これでもわたし、ある程度の大人なので
自分が何をすればどう周りに影響がでるかくらいは当たり前に考えられます。大なり小なり。
だから作中のお兄ちゃんの幼さ、考えの及ばなさ、その危うさ、軽率さがどうにも許せなかった。

思春期の頃に読んでいたらまた違った感想になったかもしれません。

なんだか思ったより辛口になりましたが、作品自体は嫌いじゃないです。

お兄ちゃんが鈍感であればあるからこそ”加害者家族”の苦悩に痛いほど共感してしまったし。

このテーマをうまくまとめているところに東野さんのすごさを感じますしね。

個人の意見として受け取ってください。

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