虚夢/薬丸岳 あらすじ 感想

月9の新ドラマをみました。思ったより重くてきつい。
高良くん(馴れ馴れしい)が民放ドラマに出るの珍しいなと思い、ちょっと興味があったドラマです。
高良くん(友達か)は爽やかな役からサイコパス、コメディキャラに冷徹な役まで何でも似合う。
映画によく出ているイメージだけど、wowowさんのドラマでもお見かけします。
今回の月9ドラマでは純朴な優しいイメージでしたね。
ヒロインがやるせない状況になるたび、画面の中の高良くん(もはやヒーロー)に向かって懇願しました。
彼女を連れだして、逃げてあげてくれと。高良くん(やっぱりヒーロー)さすがだね。





薬丸岳「虚夢」 あらすじ・感想

虚夢 [ 薬丸岳 ]


「虚夢」=事実にあわぬ夢。実際には起こらないことの夢。
これは文庫本の、序章の前ページに記されていました。親切。

薬丸さんはタイトルのつけ方がホントに簡素というか。
漢字二文字のものが多いと思うんですけど(単にわたしが持っているのがそう)、
内容や雰囲気をイメージしやすいし変に凝ってなくて好きです。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

通り魔事件によって娘の命は奪われた。
だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。
心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。
そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。
娘を殺めた男に近づこうとするが…。
人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。

文庫裏より。

少年犯罪について問題提起するイメージが強い薬丸さんですが、
この本は”心神喪失”や”精神鑑定”をテーマに描かれています。
少年法然り、心神喪失然り。個人的には納得のいかない法律だったりします。
だから余計に、薬丸さんの作品にはつい手を伸ばしちゃう。

ここから感想を。ネタバレなしです。

序章で描かれる凄惨なシーンは、読んでいると息ができない程に残酷。

これだけの事を起こしておきながら犯人が極刑にならないという、
被害者・遺族側の人間にとってはあまりに理不尽な法律を題材にしているので、
その”これだけの事”は、この物語上、振り切るほど重大でなければいけない。
フィクションだとわかっていても、とにかく惨たらしくて怒りすら湧き上がってくる。
作り話だけど、現実には起こりえないことだとは言い切れないから、余計に。

この本は薬丸作品の中でもそんなに厚みのある本じゃないんだけど、
詰まっている内容としては他の分厚い作品に負けず劣らず、しっかり読み応えもあります。
特に終盤、物語が見事にひっくり返るところは鳥肌ものです。
執念っていうんですかね。同じ立場の女として、納得してしまう心情であり、
その行動力に脱帽する思いもあるけど、やっぱり哀しくてやりきれない。

このテーマ、題材を扱っているなかで、どうやって読者を納得させるのかと思っていたから、
この結末(どんでん返し)を用意していた薬丸先生、すごいと思う。

ここに辿りつくまで、読んでいてあまりに救いがないものだから(誰、とは書きません)、
何もこんな設定にしなくても、と薬丸さんを恨みましたが。
それでは終わらないのが薬丸作品。
理不尽で納得のできない法律に抗う術は、これしかないのかと情けない気持ちにもなるし、
逆に、これ以上ないでしょうという、まさに”爆弾”でもある。

自分が彼女の立場なら、同じ方法をとるかとらないか。簡単には答えはでない。

この作品には、加害者と被害者・遺族の他にも重要な登場人物がいて、
この登場人物の視点があることによって、加害者の葛藤や揺れを窺い知ることができます。
そしてこの人物の”過去”にもこの作品のテーマ・題材部分が含まれていて、
こちらの人物にも伏線があるんですけど、こちらはただただ哀しかった。救いがなくて。

でもとても重要な設定で、このテーマを描ききるには必要な人物だったと思うと、
ほんと薬丸さんは話の広げ方が上手いな、人物に手抜きがないな、容赦ないよな、という、
また違った角度からも薬丸さんの凄さを実感。

未読の方はぜひ読んでみてください。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です