暗いところで待ち合わせ/乙一 あらすじ 感想

読書の秋ですね。それはもう、どっからどう見ても読書の秋です。
いや、一応読書ブログなんで言っておかねばと思いまして。読書の秋
食欲の秋。スポーツの秋。芸術の秋。
でもやっぱり!読書の秋、ですよねー。うん。しっくり。
食べ物よりスポーツより芸術より、何よりもそう、読書。とにかく読書。そんな読書の秋。
さぁ。いい感じでイラッとされた皆さん、本を読んでストレス発散しましょう。←




乙一「暗いところで待ち合わせ」 あらすじ・感想

暗いところで待ち合わせ


作者の乙一さん。別名義が中田永一さん。
このブログでも紹介しました、「くちびるに歌を」「百瀬、こっちを向いて」
などを書かれた作家さんの、別名義でのミステリー作品です。

あらすじから。ネタバレなしです。

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。
職場の人間関係に悩むアキヒロ。
駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。
犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。
他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。
奇妙な同棲生活が始まった―。書き下ろし小説。

文庫本裏より。

ミチルとアキヒロ、それぞれの視点から交互に物語は進んでいきます。

わたしは”中田永一”名義の作品からこの作者さんの本を読むようになりましたが、
これが”乙一”名義で初めて読む本でした。
乙一さんの名前は知っていましたが、ライトノベル作家さんっていう印象が強くて、読んだことはなかったのです。
食わず嫌い的な?感じでしょうか。
中田永一さんの作品を読み、この人が書くミステリーも読んでみたいなと思ったのでした。

では感想を。ネタバレなしです。

文章の感じは名義に関係なく同じかなと思います。とっても読みやすいし、ちょっと独特のニュアンス。
クセがないしイヤミのない文章っていうか、ほんとサラッと読めます。

設定はちょっと無理があるかななんて思いながら読みましたが、細かいところを気にしなければ大丈夫。

容疑者として追われる身のアキヒロは、ミチルの目が見えないのをいいことに彼女の家に隠れます。
物音さえ出さなければ気付かれないということなんですけど、まぁ無理ですよね。案の定、気付かれてるし。
いや、物語上、気付かれなければ話は進まないのでそれでいいんですよ。そこはね。

でも隠れる身のアキヒロの意識の低さというかなんていうか。
一か八かみたいな感じだったけど、ちょっと突っ込みたくなったかな。

家に自分以外の誰かがいると気付いたミチルもまた、ちょっとおかしい。(こら)
でも彼女の行動とか思考は、彼女の生きてきた人生を思えば納得できるというか、不思議ではないというか。

少し本文に触れますが、ミチルは何かというと「舌を噛んで死ねばいい」って思うんです。
かなり極端。無理やり良い言い方をすれば、潔い、かなぁ。

そういうところもだけど、上記に書いたとおり、彼女の過去を思えばその気持ちがわかるような気がします。

二人に共通するのは孤独と遮断でしょうか。
そんな二人が出会い、言葉も視線も交わさないままお互いを近くに感じていく。
これはもしかしたら映像で見るとまったく別の印象を受けそうなんだけど、
文章で読む二人の世界は、とっても不思議な美しさとあたたかさがありました。

似つかわしくない表現かもしれないですけど、素敵だった。

ミステリー作品なんですけどね、事件も起こりますが、そこの謎解きはメインじゃない。(わたし的に、です。)
言ってしまえば、事件の真相なんてほんとかなり最初のほうで検討がつく。
登場人物も少ないし複雑な話ではないんで、大方の読者は同じように見破れると思います。

でもこの作品で楽しむべきは、別のところなんですよ、きっと。(いやわたしの個人的な意見です)。
だからこその、「暗いところで待ち合わせ」というタイトルなのかなぁと思ってみたり。

ただ、やっぱりミステリー作品としてはその要素が物足りないし軽いかなぁと思います。
でも、犯人や事件の真相、物語の謎を暴いていく正統派のミステリーも大好きだけど、
こういう、”人と人”がメインになって描かれるミステリーも大好きです。

どっちにしても事件は起きて欲しいし謎もあってほしいので、やっぱりミステリーが好き。何それ。

この作者さんは人間の距離感を描くのが上手だと思う。
上手、って上から目線な言い方ですけど、要するに好みの問題なのかな。
この人が描く人間がわたしは好き。人間臭くなく、かといって現実離れしすぎてもいない。
現実逃避をしたくて本を読むわたしにはもってこいの、程よい”人間”なんです。
どんな感想だよ。

どっちかというと、若い人におすすめかな。

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