ナイフ/重松清 あらすじ 感想

知らぬ間に12月になっていました。時間の流れについていけない。
って、月の半ばに気付くことではない。
そして今月誕生日を迎え、またひとつ歳をとりました~。
誕生日がこなくとも、歳をとったことをひしひし感じる今日この頃です。
体調が悪い日が多くて、健康体がつくづく羨ましい。
10年前の自分よ、だらだらしてないでスポーツをしろスポーツを。




重松清「ナイフ」 あらすじ・感想

ナイフ (新潮文庫)


第14回(1998年) 坪田譲治文学賞受賞した、重松清さんの短編集。

扱っているテーマはどれも共通していて、同じ世界観のままいっき読みできます。
題名の持つ響きが物語と一緒に胸に突き刺さり、切なくなる一冊でした。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

「悪いんだけど、死んでくれない?」
ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。
僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!
ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。
ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。
子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。
失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。
その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

文庫本裏より。

坪田譲治文学賞。聞いたことない賞だったので調べてみると、
“大人も子どもも共有できる優れた作品”に与えられるそう。
なるほどな。と思いました。納得の受賞作ですね。

これを読んだのは自分が親になってからですけど、
学生の頃に読んでいてもきっと大切な一冊になったんじゃないかなぁと。

ではでは感想を。ネタバレなしです。

重松さんはこの時期のこどもの心理描写がとっても上手いと思う。
”上手い”っていうのと”巧い”は違う。重松さんの描写は、”上手い”。

こどもって言ってしまうとすごく幼いけど、だからといって大人に片足も突っ込めていない頃。
でも幼いだけじゃ決して素通りできない難しい年代というか時代というか。

その時の自分でも表現しにくいような感情を、重松さんは端的に描いている。と思います。

どの話もイジメのシーンが生々しいというかリアルというか。ダイレクトです。

収録作の中で、イジメの”傍観者側”のお話があるんですけどね。
幼馴染の男の子がいじめられていて。主人公は女の子で。
幼馴染がいじめられているのを見ているだけ。止めるどころか、ほんとに他人事。
この話のラストだけはちょっと納得いかなかった。

ネタバレになるんで書きませんが、女の子が男の子に送る手紙の内容を考えるシーン。
重松さんはわざとそう描いたのかわからないけど、イジメに対しての感覚があまりにも軽い気がした。
それが”傍観者”の感覚なんだなと思った。
”被害者”のそれとは絶対にかけ離れているのに、きっとそれに気付かない。
だからイジメはなくならないんだろうな。

そしてそして、読書でめったに泣かないわたしですが(嘘)。
4番目に収録されている「エビスくん」の最後、ぽろっときてしまいました。

何ででしょうか。話の内容よりも、終盤のほんっとに何気ない一言というか一文で、
何の用意もしていなかった涙がきれいに流れました、はい。

まぁ話の内容も切ないのでそれだけでもグッと来る人もいると思いますが、
わたしはそっち系(どっち系かは読んで確かめてください)では泣かない冷徹人間なんで、
自分でもまさか泣くとは。という感じでした。重松さんってすごいです。

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