怒り/吉田修一 あらすじ 感想

プールに通った夏でした。週末ほぼプール。

子どもってなんであんなにプールが好きなんでしょう。安くつくからいいけどさ。

我が家から車で30~40分のところにある市民プール、ここがとてもいいところで。

流れるプールが2面、幼児プールが3面、50メートルプールが1面。これで大人500円。

広いので混んでいても全く気にならず。監視員もたくさんでお客さんのマナーも悪くなく。

この夏はとてもお世話になりました。たぶん来年も通うだろうな。





吉田修一「怒り」(上下) あらすじ・感想

怒り(上) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)



9.17に映画が公開されるということで、読んでみました。

初読みの作家さんでしたが、同じく映画化された「悪人」は映画版を見たし、「横道世之介」も「さよなら渓谷」も耳にしたことがあったので、売れっ子作家さんなんだなということはちゃんと認識していましたよ。

なので、上下巻という大作でしたが、“自分に合わなかったらどうしよう”という不安はあんまりなかったです。



ではまずあらすじから。ネタバレなしです。上下巻、どちらも載せておきます。

若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。
犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。
そして事件から一年後の夏―。
房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。

怒り(上)「BOOK」データベースより



山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。
洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。
日常をともに過ごす相手に対し芽生える疑い。
三人のなかに、山神はいるのか?犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!

怒り(下)「BOOK」データベースより



もうね、すっごく良かった。これは映画も観たいなぁ。

上下巻を2日で読みきりました。先が気になって気になって。

週末プールに行かなかったら1日で読めたのに。



ではでは。ここから感想を。ネタバレなしです。

もうね、すっごく良かった。(2回目)

最近の読書は軽めの本(私基準)が多かったので、なんだか久々の読後感にうっとりしてる。(大丈夫か)

心にずっしり。

何をしていても物語の世界観がわたしの心の中を占領していて、しばらく浸れそうです。

この本はわかりやすいミステリーや推理小説・サスペンスではありませんでした。(個人の感想です)

謎解きや展開を楽しむ、ということに重きをおいていません。(個人の感想です)

あ、でもちゃんと犯人は明かされるのでご安心を。

冒頭で凄惨な夫婦殺害事件の概要が綴られています。

その犯人の行方と、現場に残された「怒」という血文字の意味を解き明かしていくストーリー展開……

だと思って読んでいたんですけどね、どうやら違いました。いや違うことないけどさ。←

物語の舞台は3つ。房総・東京・沖縄。

それぞれの土地で暮らす登場人物たちと事件を追う刑事の視点で交互に進んでいきます。

そこに現れる3人の正体不明の男。まぁどいつもこいつもあやしい。

どれが指名手配犯・山神一也だろう?もしかして全部?それとももしかしてどれでもない?

と、最初はそればかり気にしながら(疑いながら)読んでいました。

もちろん事件の真相も。というかそれがメインだと思っていた。

だって動機とか、犯行に至る経緯とか、血文字の意味も何もわからないし。

しかし気付けば、自分の感情がそれとはもっと別のところに連れて行かれていた。やられた。

この手の物語(ミステリーやサスペンス)って、やっぱり読者は事件の解決・解明をゴールにして読み進めていきますよね。

そしてその過程でハラハラドキドキを楽しんだりアッと驚くトリックや叙述の仕掛けを期待したり。それが醍醐味だし。

だからそこには正直、“何か深いもの”は求めてなかったりする。(私だけかもしれないけど。)

登場人物がどんな人間でどんな思考で、っていうことはあんまり重要じゃない。(私だけかもしれないけど。)

キャラはわかりやすければわかりやすいほど面白いし、たとえそれが“現実にこんなやついねーよ”みたいな感じでも、世界観に合っていれば問題なし。

とにかく謎解きや展開、伏線回収が面白ければそれでいい。会話が楽しければなお良し。

常々書いてますが、私は純文学より娯楽小説、ラブストーリーよりミステリーが断然好きです。(急にどうした)

本を読みながら登場人物に自分を投影させ人生のあれこれを考えたり、自分と向き合ったりするのは面倒くさい。

そんなことしちゃうと読書が現実逃避にならん。(持論です)

これは個人差があると思うけど、私にとって純文学やラブストーリーはそういう面倒なツール。

だからミステリーが好きだし、“ミステリー”や“サスペンス”と銘打っているものには上記のような醍醐味を期待して読む

揺れ動く感情や思考、葛藤とか人間の内面的なものにたくさんのページ数や描写を割かれると、正直冷めちゃう。

結果的にそういう構成のミステリーは、私はいつも“あんまりだったな”っていう感想になるので、低評価にしちゃうんです。

しかしこの本は次元が違いました。前置き長くなっちゃったけど。

もうそんなしょうもない持論をグダグダ考えてる暇もなく、気付いたらとんでもなく重いテーマが答えとともに目の前にあった、って感じです。(雑だな)

自分で勝手にカテゴライズしていたものが、気付かぬ間に全く別のものに姿を変えていて。

思考?内面?そんなものをいちいち認識する間もなかった。否応なしに直面させられていた。

圧倒的な筆力、描写力が、息つく暇もなくそこに連れて行ってくれました。

まず久々のそんな読後にひとしきり感動し、そのあとは惨敗としか言いようのないやられた感に打ちひしがれてます

まぁね、自分が何と戦ってたのかわからないけどさ。しばらくこの感じを引きずりたいです。最高。

人が人を信じること。自分を信じること。親を、子どもを、信じること。

それを裏切られたとき、自身がそれに敗れたときの、登場人物たちの慟哭が、絶望が、悲しみが、耳元で聞こえるようだった。

誰にも、どの決断にも、決して甘くない物語だった。もちろん読者にも。

誰にでもわかると思う。この甘くない結末・現実は、誰にでも起こりうることだと思う。

そりゃこの物語中に出てくるような、壮絶で極端なことではないだろうけど、多かれ少なかれ。大なり小なり。

“信じる”“疑う”ということは、1ミリだって避けて通れるものじゃないから。



読み終わった後に気になったので映画の予告を見ました。仕事はやいでしょ。

映画「怒り」公式サイトはこちら。 
注:音声が流れます。

キャストさんたちの涙のシーンを見てすぐにどのシーンかわかり、そのイメージどおりの名演技に絶対映画を観ると決めました。……行けるかな。←

無事に観れたら感想書きますね。

そしてもちろん、この作家さんの他の作品も片っ端から集めていこうと思います。おすすめあれば教えてください~。

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