悪党/薬丸岳 あらすじ 感想

回転式の本棚を使っています。小説用に。
ずらーっと並んでいる本を眺めるより、
クルクルまわして眺めるのが好き。
常に何冊か未読本をストックしておいて、
クルクルまわしながら次に読むのを選ぶのが好き。
そろそろ追加せねば。本棚を




薬丸岳「悪党」 あらすじ・感想

悪党 (角川文庫)



タイトルからして、悪そうな奴が出てきそうだなぁと。そのままか

わたしにとっては「天使のナイフ」に続く、
薬丸作品二冊目でした。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。
依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。
実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。
その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。
加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し…。
衝撃と感動の社会派ミステリ。

文庫本裏より

中身の詰まった一冊だった。
連作短編みたいな構成かな。

章ごとにさまざまな依頼人が主人公の働く探偵事務所を訪れます。
依頼内容は「犯罪加害者の追跡調査」。
出所した犯罪者が、どこで何をしているのか、反省、更生しているのか。

では感想を。ネタバレなしです。

どの章も依頼人の立場や目的はそれぞれに違いがあって、読んでいて飽きることはないです。

ちょっと内容に触れますが
第三章、出所後の弟を捜すお姉さんと余命わずかな母親のエピソード。
母親は自分が死ぬ前に息子に会いたいと願う。
結局、息子に会う前に亡くなってしまいますが、病室の母親の枕の下から出てきたもの。
それを渡すために、お姉さんは弟に会うことを決意します。

この章が1番辛かったというか、やるせなかったというか。
この章では被害者家族ではなく、加害者家族の心情が描かれていました。
母が残した”それ”を見て、息子は何を思うんでしょう。お姉さん、立派でした。

そして、連作短編と言っても物語の中心にあるのは、主人公のお姉さんの事件。
被害者家族である主人公の葛藤や闇が、それぞれの章を通してしっかり伝わってきた。

いろんな依頼人と犯罪加害者に出会い、主人公の決意は固まってくる。
終盤、主人公の中にある復讐の焔が1番大きくなったとき
その背中を押してやりたいと思う気持ちと、どうか罪人にならないでという願いとで、
必死になってページを捲りました。

同情や共感とかじゃなくて、主人公の焔に寄り添っているような感覚で読み進めていたから、
変な言い方ですけど、
彼の焔がきちんと燃え尽きて、灰になる瞬間を見れて良かった
ちゃんと見届けられて良かった。

最後に、お父さんと再会するシーンも良い意味であっさりしていてよかった。
これが家族、これが親なんだなと。お父さん、強かった。

ラストシーンも、きれいな終わり方でした。

うんと暗い、世界観をいつまでも引きずってしまうラストも好きだけど、
このくらい重くてやるせないお話のときは、少々できすぎというかきれいすぎるラストがいい。
これが物語で、小説の中のお話なんだって思えるから。
小説の中でだけでも、光さす救いがあってほしいって思うから。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です