赤朽葉家の伝説/桜庭一樹 あらすじ 感想

大寒波のおかげで頭痛に泣かされていました。低気圧め。
もともと偏頭痛もちなので、天候とか季節の変わり目に敏感。
頭が痛いと、パソコンも携帯も本も、目を使うことがとても苦になりできません。
でも目を閉じても痛いものは痛い。体質の問題で薬は飲めない。
頭痛に効くらしいツボを力任せに思いっきり押してみると、心なしかマシになりました。心なしか、ね。はーツライ。





桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」 あらすじ・感想

赤朽葉家の伝説 [ 桜庭一樹 ]


これは自分が読んだ桜庭作品の中で1番好きな本です。

表紙の色がまさに赤朽葉色っていうんでしょうか、
とっても綺麗で、だけど少し不気味さも含んでいるいような気もしませんか?しませんか。

表紙の折り込んだ部分に、
「ようこそ、ビューティフルワールドへ。」
と書かれています。ワクワクしながら読み始めたことを今も覚えています。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、
長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。
これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。
―千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。
旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。
第60回日本推理作家協会賞受賞。

文庫本裏より。

これ、とっても不思議な本なんです。
ミステリであり、ファンタジーのようでもあり。女三代の伝記でもある。
文字が小さくてみっちり詰まっていて、ページを一見するだけでずっしり重みが伝わります。

ここから感想を。ネタバレなしです。

とにかく物語に没頭しちゃうような、いわゆる”いっき読み”が好きなわたしは、
割とスピード感重視で本の良し悪しを決めるところがありました。
でもこの本が、”ゆっくり時間をかけて読む”ことの楽しさを教えてくれました。
なんていうのかな、先は気になるけど進むのがもったいない感じです。
最後の一ページにたどり着いて、読了しちゃうのが寂しいような気持ちになって。
大切に大切にページを捲りました。そんなふうに読むのがふさわしいとも思える作品です。

桜庭さんの描く文章や言葉選びって独特で個性的。

この物語は”わたし”が、祖母と母の時代を遡り記している構成なので、
とにかく時代背景なんかの説明が多いんです。情勢や時代の移り変わりとか。
この部分をそのまま描かれてしまうと、とっても退屈で現実世界に引き戻されちゃう。
でも、桜庭さんの文章は不思議と飽きがこずにすらすら読めて、
リアルな時代背景と少しお伽話みたいな物語の世界観が上手くかみ合っていて。
物語の不思議さとかファンタジーさとか、壊れてしまうことなく読めます。

第一章が祖母、第二章が母の物語。祖母も母も個性的で不思議な人。
時代の移り変わりや押し寄せる苦難ももろともしないような強さがあって、
ずっとその人生を見ていたいって思わせる魅力がある。
でも確実に存在する”強さの中の弱さ”が、またまた上手に描かれているんですよ、これが。もう。←だれ
だからかな、読んでいると微かな切ない気持ちが常についてきて、
知らない間に自分の中でどんどん蓄積されていたんでしょうね。
第二章が終わったときに初めて、どうしようもないような寂しい哀しい気持ちがどっときました。

そして、現代を描く第三章。”わたし”の物語。

時代の変化もあり、祖母や母に比べるといたって普通の主人公。
ただ、この章になって一気に”ミステリー要素”が強くなります。
これでこそ桜庭作品。ただでは終わりませんよねー。←だからだれ

”わたし”と一緒に謎を追っていくうちに、途中で真相に気付いてしまいましたが。
そんなことはたいしたことではない。

この本の読後感は、他のどれとも全く違います。
最終章の登場人物まできっちり仕事をしていて、もやもやはほとんど解消されるし、
いろんな出来事にもちゃんと救いが用意されていて。でも後をひくもの悲しさもあって。

最後の最後まで、とっても不思議な物語です。未読の方はぜひ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です