砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹 あらすじ 感想

結果的に言うとノロではなかったようです。あ、前回の続きです。
吐き気はその2回だけで済み、お腹も壊していませんでした。
ホッとしたのもつかの間、翌日「お腹が痛い」と言い出し。
どうやらノロほどひどくはないけれど、胃腸風邪にかかったみたい。
まぁそれも一日で治まり、何年か前のような悲惨さはなく安心しました。
長男はすっかり元気に。そして意気揚々とわたしにこう言うのです。
「アイス食べていい?」……真冬だよ?だからそうなるんだよ?




桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」 あらすじ・感想

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)


砂糖菓子の弾丸。何やらアンバランスな印象のタイトル。好きです。

「私の男」から読み始めるようになった桜庭一樹さんの作品。

こちらはちょっとライトノベル感の強い作品ですね。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。
見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。
あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。
そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。
嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。
だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。
直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。

文庫本裏より

短めなのでサラッと読めます。
そのサラッと感とはうらはらに内容は重めです。残酷な物語です。
この短い物語の中によくもこんなに残酷さが詰まっているなと感心するほど。

ここから感想を。ネタバレなしです。

この本は冒頭で揺るがない結末を突きつけてから始まります。
物語に入った瞬間から、読者は”彼女”の結末を知るわけです。
もっと言えば、”撃ちぬけない”と言い切っているタイトルからもう結末は決まっている。
そこから時間が遡り、過去と現在がいったりきたりして物語は進みます。

この構成が残酷さをよりいっそう際立たせていると思う。
悲しい結末を知りながら、そこへたどり着くまでの時間を見るのはかなり辛く切ない。

だって、作中でどんなに彼女達が惹かれあい寄り添いあい抗っても、結末は変わらない。
彼女達が撃ち続ける甘くて脆い”砂糖菓子の弾丸”があえなく砕かれるのを傍観しているだけ。

それは何も、この本を読んでいる”読者”という立場だけでなくて、
現実世界でも同じことなのかもしれないなと思った。
気付かないだけで、いやもしかしたら気付かないふりをしているだけで、誰もみんなそうかも。

登場人物の話を少しだけ。
なぎさのお兄ちゃん、とってもよかった。この兄の存在が唯一の救いだと思えるほど。

でもなぎさが”実弾”を求める原因にもなっているし、
実際”貴族”然りの生活を送っている姿はほんと、ただのニートだからね。
でも彼がいないと物語は成り立たないし、彼が”ただのニート”として描かれていたら、
なぎさにとっても読者にとっても何の救いもない。彼が神でよかった。

そして部屋を飛び出しなぎさを連れて外へでた時は、”ただのニート”でよかった。

内容も残酷で打ちのめされるけど、結構過激なシーンも多くて少し疲れちゃう。
その分というか反面、なぎさと藻屑のやりとりは決して楽しいわけではないのに、
どこか心満たされていくというか、彼女達の気持ちとシンクロしているような気分になる。

重々しいだけの描写だけで綴られているのではなくて、力の抜ける部分もたくさんある。
だからこそサラッと読めるんだけど、

やっぱり読後はそれなりの虚しさというか無力感が襲ってきます。

この世界中に、今この瞬間も砂糖菓子の弾丸で戦っている小さな兵士たちがいる。

生き抜いたものたちだけが大人になれる。
なんていうか、この部分には簡単に感想を言えないけど、
これは小説じゃなくて現実世界に溢れていることなんだと思うと、やりきれない。

桜庭さんって不思議な作家さんだなと思う。重松さんと正反対のところにいる。
きっと言ってることは同じだと思うんだけど。(大雑把ですみません)。
ほんの例えのつもりで桜庭さんと重松さんの名前をだしちゃったけど、
こんなことはいっぱいある。だから小説は面白い。

できるだけたくさんの作家さんの本を読みたいと思う。読まず嫌いやめなきゃな。

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