秘密/東野圭吾 あらすじ 感想

高校野球決勝戦が熱かった。いい試合でしたね。
三つ目のアウトを獲った瞬間、マウンド上でエースが両腕を挙げてガッツポーズ。
っていう場面が毎年楽しみです。
あの広い球場で満員の観客の中、頂点に立つ瞬間に何を思うんでしょう。
サヨナラだと見れませんが、
それはそれでドラマチックなので、文句なし。誰だよ。




東野圭吾「秘密」 あらすじ・感想

秘密 (文春文庫)



東野圭吾作品の中でも有名な作品。
映画化、ドラマ化されました。
どっちも観ましたので併せて感想を書きます。

まずあらすじから。ネタバレなしです。

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。
その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。
映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、文庫化。

文庫本裏表紙より。

ちょっとSFチックですね。

東野さんはタイトルのつけ方が巧い。たまにタイトル負けのものもあるけど。こら。
「秘密」は、このタイトルでなければ完成しないと思う。

では感想を。核心に触れるネタバレはさけますが、映画版ラストについてチクチク言います。

という前置きをしたので、まず映画版ラストについて。詳細は書きません。

これは、映像化のときに原作ファンが1番やって欲しくないことをやってます。
「話がかわってくるだろうがぁぁぁぁぁ」のラストです。
この作品はラストが1番重要。そこの解釈を間違えば、途端に普通の作品になってしまう。
いや、変えたくてやってる可能性もあるけど、
それはそれでこの作品は変えちゃダメだろって叫びたい。

まぁね、自分の解釈が絶対に合ってるとは言いませんが、
ことこの作品においては、解釈の選択を奪うような映画版のラストは許せませんでした。

で、ドラマ版はどうだったのかと考えたんですけど、忘れてしまいました。原作どおりだったっけ?

でも、キャストの佐々木蔵之介さんと志田未来ちゃんはぴったりだったかな。
未来ちゃん、幼いなぁと思っていたけど、乗り移った妻役のときはしゃべり方がめっちゃおばさん。さすが。

映像版の方はこれくらいにしておいて。

原作は他の東野作品同様、すらすら読める。わたし、東野作品で詰まったことないかも。
展開も早いし、どんどん先に進めます。

この作品、かなり賞賛する雰囲気でここまで書きましたが、
平介(主人公)と、娘の身体に宿ってからの直子とのやりとりに腹立つ部分が多くて、
というか生理的に受け付けなくって、あぁこれは男性作者が描いた作品だなぁと実感。

以前、「私の男」の感想記事に書きましたが、この作品と通じる不快感があるんですけど、
あれはまだ”娘の意思”だから、まぁなんとか消化しましたよ。
あっちのほうが吐きそうな描写は多いですが。

しかしこの作品は、娘の身体にいるのが”母親”なんで、ちょっとどうかと。
そういうエピソードの直子も含め、全体を通して直子は”母親”よりも”女”のほうが強い印象だったので、
ちょっと理解に苦しんだ。

その分、平介の情けなさややるせなさ、取り残されたような寂しさを想像しやすかったかな。

この作品も”感動”って言葉は似合わない。なんとも言えない読後感。
平介のこれからを思うと胸がひたすら痛いけど、ほんの少しだけ、あたたかさが残りました。

3件のコメント

  1. 突然のコメントですみません。今更ながら「秘密」を初めて読みました。映画やドラマの予備知識はゼロの状態です。読み終わって・・・腹の底にズンと響きました。傑作ではないでしょうか。(すでに傑作と評価されていますが(;^_^A)他の人はこの本を読んでどの様に感じたのか気になって検索したのですが、さすがに有名な本だけあってレビューや感想が沢山ヒットしました。しかし、あれっ、あれれっ・・・違う・・・・・全然違う・・・・たまにちょっと近い感じがあるくらいで自分の感じたこととは全然違う意見の方位が圧倒的に多い・・・・。その中でito様の4年も前の感想にわざわざコメントしたのは
    >全体を通して直子は”母親”よりも”女”のほうが強い印象だった
    部分が自分とは正反対だったからです。(ちなみに自分は40代既婚♂息子2です)直子は平介と事故現場に行ったとき「自分が死ぬのは全然かまわない。ただ藻奈美だけはどうしても助けようと思ったの。」(※記憶からなので一言一句正確ではないです)と言ってます。その後医学部を目指すことを宣言しました。これを読んだとき、直子は医者になりたいわけじゃないだろうな。藻奈美を連れ戻すために脳について研究するつもりだろうと感じました。(最後に大学で脳医学について研究していることが書かれている)待っていても藻奈美は戻ってこない。誰も助けてくれる訳じゃない。(だって秘密だから)自分でやるしかない。と決意したように感じました。多くのレビューや感想に「直子は藻奈美として生きることを二度目の人生をやり直すチャンスと前向きにとらえ・・・・」みたいな記述がありましたが、自分は「もう一度藻奈美を助けるチャンスをもらったんだ。」と考えたような気がするのです。平介に本心を明かさないのは、藻奈美が戻ってくるってことは直子が消えることだからです。共学の高校に進学して部活にも入ります。平介には「受験には体力が~」みたいなもっともらしい理由を説明しますが、本当は藻奈美が戻ってきたときのことを考えて「藻奈美の人生を豊かなものにしてあげたい」「本来藻奈美が生きていればやりたかっただろうと思うことを経験させてやりたい」という母としての思いだったように感じました。
    事故現場を訪れて以降の直子は”母親”の方が強く出ていると感じました。
    この本について考えてと書きたいことが次々と浮かんで長文になってしまいました。(;^_^A
    まだまだ書きたいことありますがこの辺にしときます。
    このコメントでito様が久しぶりに再読してみるきっかけになれば幸いです。この本は読む人の年齢によっても感じ方が変わる本だと思いますので。
    父と娘の設定で不快感があると書かれていますから、再読する気が起きないかもしれませんが、まさにそれが直子の平介に対する葛藤・苦しみだと思います。(私の妻もその設定であるため読む気がしないと言っております)
    ラストについては賛否両論ですが
    >この作品も”感動”って言葉は似合わない。なんとも言えない読後感。
    全く同感です。
    この物語は、今後直子が研究を続けて本当の藻奈美の意識を戻すことができたならハッピーエンド。できなかったら・・・・平介が死ぬ間際にもう一度「平ちゃん」と呼んであげてほしいと思いました。
    自分にはこの本について感想や意見を言い合える相手がいないので、このコメントを読んでito様の意見が聞けたら嬉しいです。

    1. マロ様
      コメントありがとうございます!最近ブログ(というかパソコン)を開く時間と元気がなく(笑)、気付くのが遅くなってしまったことお詫びいたします。
      4年も前の感想……という記述に自分で驚いています。昔と比べ最近は時間の流れが速くなってますね、超常現象ですかね。(つまんない冗談はこのくらいにしときます)
      わたしも普段、本の感想を言い合える相手がいなくて、しかし言わずにはいられなくなりこのブログを始めたので、マロ様の最後の一文がめちゃくちゃ微笑ましくそして嬉しくなりすぐさま返信を打っております。
      まず自分の感想を読み返してみました。“感想の感想”になりますが、最近書く感想に比べるとずいぶんあっさりした感想書いてますね、わたし。
      そんなあっさりの中で
      >全体を通して直子は”母親”よりも”女”のほうが強い印象だった
      ってことを書いてるってことは、この作品でその部分のイメージがかなり強かったんだと自分で思います。どんだけ。
      ブログに感想書くとき、読んですぐ書くことがめったになくて、以前読んだ本の中からランダムに選んで書いているので、細かい部分の考察を書くことがあんまりなくて……。
      より印象に残っていることを書いているので、そこを強調したのかなと思います。
      今でもこの本を思い出すと、ラストの衝撃や切なさの次に、母と娘と父親のなんていうかその、不快感がきちゃいます。すみませんわかり辛くって(;^_^A
      わたしは30代で息子が二人います。娘はいません。なので、“娘の母親”という目線ではこの本を読めません。“子を持つ親”目線でも読めません。なぜならわたしが“娘”という立場を知っているからです。どっちかというと“お父さんの娘”“お母さんの娘”目線です。だから先に不快感が来るんだと思います。どうしてもそういう描写の部分だけが印象に残っているんだと思います。そしてこの本はそういう部分が多かったかなとも思います。
      マロ様の、藻奈美を連れ戻すために、という考察を読ませていただき、すごく参考になるとともに自分が恥ずかしくなりました。なぜなら上にも書きましたが、わたし、この本に対してほんとにラストと直子の“女”の部分しか印象がなくって(しつこくてすみません)、“子を想う親”の当たり前の感情に思い至れなかったことが、親として恥ずかしい。
      正直、マロ様のコメントを読んで、「そういう描写あったっけ」(事故現場のところ)と思ったくらいすっぱ抜けてました。こんなレベルで感想書いてすみません(汗)。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
      まとまりのない文で長々となってしまいました。コメントいただけて、それに返信ができて、テンション振り切っております。
      マロ様の求める意見では決してなかったとは思いますが(なぜなら自分でも何が言いたいのかわからないから)、また何かありましたら気軽にコメントいただけると幸いです。
      こんな拙いブログを読んでいただき、コメントまで残してくださり、心から感謝です。ありがとうございました。

  2. コメントに対する返信ありがとうございます。
    ito様のコメントを読んでこちらも何だかうれしい気持ちになりました。
    自分は定期的に本を読むという感じではなく、仕事で出張があるとき(電車移動)にブック〇フの100円コーナーで面白そうな本(ミステリーが好き)を2~3冊選んで移動中に読むといった感じです。(普段は車通勤です)なので必然的に”ちょっと昔の本”になるため、今回の「秘密」のように”誰かと語りたーーーい”と思うような本と出合っても相手がいないのです。(;^_^A
    自分の周りにも数人読んだことがある人がいましたが、昔のことなので”確か衝撃のラストだったよね”ぐらいの記憶しかなく、勝手にがっかりしていました。
    ただ、この作品は出張で読むのは止めた方良かったです。ただでさえ疲れて帰ってきてるのに駅のホームに降りた時にあの”なんとも言えない読後感”が疲れを倍増させたように感じました。(;^_^A
    この先”語りたい”作品に出合った時はito様のブログにコメントさせていただきます。
    丁寧な返信ありがとうございました。

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